撮影協力:住吉大社
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2026年5月掲載
疾走する哲学
響き合う美意識と革新の鼓動
Vol.3 Audi×千年企業 金剛組と宮大工
「技術による先進」をモットーに、常に未来を見据えて挑戦し続けてきたAudi。
細部にまでこだわった丁寧かつ質の高い仕上げには、熟練の職人たちによるクラフトマンシップが息づいています。
今回は、世界最古の企業、金剛組に所属する宮大工の棟梁・木内繁男さんと、お弟子さんの大迫耀介さんに、千年企業が誇る技術の継承についてうかがいました。
使用モデル
Audi SQ6 e-tron
革新的なテクノロジーと電気自動車の概念を覆す圧倒的なパフォーマンスが融合。電動quattro®がもたらす俊敏な加速と、洗練されたデジタル空間が、次世代のドライビング体験を切り拓きます。
Audi SQ5 Sportback
流麗なフォルムに、Sモデルならではの昂揚感を秘めたスポーツSUV。V6エンジンの力強い鼓動と、クーペの美しさにSUVの利便性を融合させた設計が、あらゆる路面でスポーティかつ上質なドライビング体験を約束します。
金剛組の半被を前に談笑する木内棟梁と弟子の大迫さん
その歴史は聖徳太子の時代から
世界最古の会社・金剛組。聖徳太子が日本最初の官寺・四天王寺を建立するために百済から呼び寄せた3人の工匠のうちの1人・金剛重光が、西暦578年(敏達天皇7年)に創業した、1400年以上の歴史を誇る会社です。
以後金剛組は、明治の神仏分離までは四天王寺のお抱え大工として、それ以降は日本の寺社を支える宮大工として活動してきました。
聖徳太子が発願し、金剛組の祖・金剛重光が建築に携わった、日本最初の官寺・四天王寺
現在、金剛組では、8人の棟梁がそれぞれに率いる約100名の専属の宮大工たちが、飛鳥時代から続く技術をもって神社仏閣の建立や修復事業に携わっています。そのひとつが、木内繁男さん率いる「木内組」。1969年(昭和44年)、金剛組宮大工の棟梁だった父親に弟子入りしてから60年近く、自らも宮大工として金剛組を支え続けてきました。そんな木内棟梁のモットーは、「見えるところは丁寧に、見えないところはより丁寧に」
金剛組が有する大阪堺市の自社工場、関西加工センター内部
木内繁男さん:1950年生まれ。木内組棟梁。「匠会」会長。四天王寺伽藍や住吉大社をはじめとする日本各地の神社仏閣の建立や、重要文化財建築の修復に携わる。令和6年に完成した成田山不動尊(成田山大阪別院明王院)山門の新築事業でも指揮をとった。
「宮大工と普通の大工さんの違いは、前者が神さんや仏さんの、後者が人の住む家をつくるということ。普通の大工さんは、お客さんがこの家で"ええ"と満足してくれたら大成功だけど、神さんや仏さんは直接"ええ"とは言ってくれへんからね。だから、まず自分が納得せえへん限りは、神さん仏さんは納得してくれない、そんな気持ちで、毎回これ以上のことはできないというものを目標にしてやっています。数百年後の修復時に、未来の宮大工が自分の仕事を見るかもしれないけれど、もし誰も見なくても、妥協することなく、恥ずかしくない仕事をしたいとはいつも思うてます」
ものづくりの頂点は宮大工にあり
そんな特殊な世界に、半年前に足を踏み入れたのが、現在19歳の大迫耀介さんです。ものをつくることが好きだった彼は、「ものづくりの頂点は宮大工」という話を聞き、小学校の頃から宮大工になると決めていたそう。金剛組が技術の伝承をモットーとして取り組んでいる「匠育成塾」で、現在の師匠となる木内棟梁に出会い、晴れてお弟子さんとなりました。
「単にものづくりが好きなだけなら宮大工でなくてもいいと思うのですが、僕はやはり木組や継ぎ手など宮大工が伝えてきた昔ながらの技術に憧れました。今は便利な機械があるのでそれらを使えば、つくりたいものはある程度つくれると思います。でもやはり基礎というか、根本的な知識や技術を理解していないと、そういった機械もうまく使いこなせないということを、今は身に染みて感じています」
大迫耀介さん:2007年生まれ。半年前に木内棟梁に弟子入りした、最年少の若手ホープ。
飛鳥時代から使われてきた槍がんなを初めて手にした大迫さんと、指導する木内棟梁
あまりにも和やか、令和の師弟関係
伝統的な徒弟制度というと、つい「技術は見て盗む」「理不尽に叱られる」など、ステレオタイプの上下関係が思い浮かびます。しかしお2人の関係は、まるで、おじいちゃんと孫のように和やかな雰囲気。「今は、携帯の使い方とか、弟子に教えてもらう時代やしね」と和気藹々とした師弟関係は金剛組の中でも特別ということですが、1400年以上の歴史を誇る会社の、厳格そうなイメージとはかけはなれた親密さです。
「もちろん僕らの若い頃は、口より先に手が出るような先輩はたくさんいましたよ。でも、今の社会で怒ることはあかんねん。失敗したところで怒っても何の意味もない。失敗したらその対処法をちゃんと教えてあげた方が、後々その子にとってよっぽどためになると思うてます。ただし、大怪我につながるような危険なことをした時は、どこの組のお弟子さんでも躊躇なく注意するようにしています」
手入れの行き届いた道具は、常に輝いている
宮大工が感じた、Audiのこだわり
撮影協力:成田山不動尊(成田山大阪別院明王院)
そんなお2人に、昨年デビューしたミドルサイズSUVモデルのエンジン車Audi SQ5 Sportbackと、電気自動車Audi SQ6 e-tronに試乗していただきました。


2年前から電気自動車のオーナーである木内棟梁は、EVの魅力のひとつはその静粛性にあると感じているそうです。
「僕は若い頃から車が好きで、いろんな車に乗ってきました。だから車はエンジン音があった方が楽しいと最初は思っていたけれど、電気自動車の静かさに慣れてしまうともう元には戻れませんね。宮大工として目がいくのは、やはり車の顔であるフロントグリル。エンジン車の場合、エンジンの冷却や空調のために、フロントグリルには必ず通気孔をつくらないといけないが、電気自動車はここから空気を取り込む必要がないので、この部分のデザインはエンジン車よりずっと自由になる。デザイナーにとっては腕のみせどころやと思います」


一方、電気自動車、ましてやAudiのSUVを運転するのは初めてという大迫さんは「とにかく楽しかったです!」と満面の笑み。
「電気自動車は加速とブレーキがすごく良くて、とくにアクセルを踏んだ瞬間にギュイーンっと強烈な加速を体感しました。それに重心が低いからか、振動を感じにくいなと思いました。あと運転中、フロントガラス越しに必要な情報が出てくるARヘッドアップディスプレイにも驚きました。棟梁は情報量が多すぎて慣れないって言ってたけど、僕はとても便利だなと思いました」
次の千年に向けて伝えるべきもの


撮影協力:住吉大社
釘を使わず、木材同士をかみあわせてピッタリと接合する「継手(つぎて)」や「仕口(しぐち)」といった宮大工の手法、パネルの継ぎ目を極限まで絞り込み、寸分の狂いのない接合を実現するAudiのレーザー溶接。さらに材木1本1本のクセを見抜いて的確に使用することで、その建物が千年先も建ち続けることを見据える宮大工の視線と、シンプルかつ飽きのこないデザインで、いつまでも愛される車づくりを目指すAudiの理念。
千年企業・金剛組の専属宮大工と110年以上の伝統を誇るAudiは、究極のクラフトマンシップや時を超えて生きる「タイムレス」な思想など、同様の理想を追求し、継承してきました。2つの企業はこれからも末永く時代をつないでいくことでしょう。
最後に木内棟梁に、金剛組の次の千年に向けて伝えたいものについてうかがいました。
「飛鳥時代から受け継いできた宮大工の「わざ」はもちろんですが、お弟子さんたちには日本人としての文化やマナーなど「こころ」の部分もきちんと伝えなければと思うてます。宮大工は神さんや仏さんの住む家をつくるのが仕事なんやから、神さんや仏さんの心がわからなければ、神社やお寺をつくるのは無理やろね。だから神社を見れば手を合わせ、お寺に行ったら日々の感謝を伝える。そんな日本人ならではの魂の積み重ねが、金剛組が次の千年を生き抜くために重要になってくると思います。技術の真髄はね、大迫くんもあと50年ぐらい宮大工やったら、ちょっとぐらいはわかるんやないかな」
株式会社金剛組
現存する世界最古の企業として知られる、大阪を拠点とした社寺専門の建築会社。日本最初の官寺である四天王寺を建立するために聖徳太子が百済から呼び寄せた工匠の1人・金剛重光が、西暦578年(敏達天皇7年)に創業した。以来、金剛組は四天王寺のお抱え大工として活動してきたが、明治以降は独立。現在は8人の棟梁が束ねる専属の宮大工たちが、飛鳥時代から伝わる伝統技術をもって、神社仏閣の設計・施工、国宝や重要文化財の修復・復元を行っている。
加工センターのギャラリーに展示されている大阪成田山明王院新山門の模型は、木内棟梁の作
構成・文/木谷節子
アートライター 1969年東京生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業後、編集プロダクション勤務を経て、再度、東京藝術大学芸術学科に入学。
その頃より現在にいたるまで、雑誌やムック、各種インターネットサイトなどでアート情報を多数発信。
現在は、「ぴあアプリ」や、企業、美術館のアートコンテンツで執筆するほか、絵画講座の講師としても活動中。
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